東芝の電光石火

 HD DVDプレーヤーが先週末、東芝からついに発売された。正直、突然の発表と即日発売という手際の良さにはびっくりした。国内で3月中に発売するとのニュースが半月ほど前に流れていたのは把握していたが、30日に至るまで何の予告もなく、またブルーレイプレーヤーの米国でのリリースも延びたことから、ゴールデンウィーク直前の発表がいいところだろうと思っていた。もっとも、当初は2005年中に出すとの意向を示していた東芝だけに、また延期となればオオカミ少年とでも呼ばれかねないと思ったのだろう。
 それにしても、日本の家電製品で発表即発売という手法はあまり例がないのではなかろうか。アップル得意の手口というやつだ。そのアップルの例に倣ってか、陳列されたアキバのヨドバシカメラでは即日完売の紙が貼ってあった。販売価格は99,800円。隣に置いてあったハイブリッドDVDレコーダーRD−X6と同じ値段だが、機能的にはRD−X6の方がはるかに上だ。何台入荷したのかは店員に教えてもらえなかったが、それなりに反応がよかったのは事実だろう。それとも景気がよくなった表れの一端ということにか。
 ともあれ、次世代、もとい新世代光ディスクの覇権を巡る争いは実践段階に移行したわけだ。東芝は夏までにはノートPC・ダイナブックにもHD DVD−ROMドライブを搭載する予定だそうだ。さらに、ソニープレイステーション3を出す(とされている、また延期するんじゃないの?)秋頃にはHD DVDレコーダーの発売にこぎ着け、先行感を印象づけたい意向だ。
 先にマイクロソフトがWindows vistaの発売延期を発表するなど、IT・エレクトロニクス業界では先送り話が相次いだだけに、今回の東芝の“電光石火の早業”は、久々の明るいニュースといえよう。

参考リンク
東芝、HD DVDプレーヤーを3月31日発売
「BDは戦艦大和。年内には決着」。東芝DM社藤井社長
東芝公式ページ