もっとサプライズを・・・

 今年もCEATEC JAPANの季節がやってきた。今回も取材と称して遊んできた(ちゃんと原稿も書きましたよ)。2000年の第1回から数えて7回目、入場者は増えているのかもしれないが、毎回取材している目から見ると、残念ながらサプライズがなくなってきているように思えてならないのである。
 たとえば、今回初日にベールを脱いだソニー初の“まともに売れる”ブルーレイ・ディスクレコーダーも、「何だ、やっと出てきたか」という程度の感想しかない。“まともに売れる”といっても、250GBのHDDを載せた下位モデルで25万円。このレベルのHDDを載せたDVDレコーダーと比べれば5倍以上の開きがある。
 ブルーレイの最初の原型がCEATECに出品されたのは2001年。その当時松下電器の担当者は「地上デジタルが始まる2003年までには製品化したい」と話していたが、1度は製品化したこともあったとはいえ、使える私用として現れるのに年も余計にかかってしまったわけだ。ここ数年、ブルーレイ陣営各社が最もらしい参考品をブースの一角に鎮座させ、新しもの好きの消費者の心をくすぐり続けてきたのだが、もはやマンネリでしかない。ようやく発売しますよといわれても、食指が伸びるユーザーがどれだけいるのか疑問である。それはすでに発売を開始しているHD DVD陣営孤高の雄、東芝とて同じだ。
 大画面薄型テレビにしても、今回ビクターが110インチのリアプロテレビを出品したが、そんな巨大なテレビを置ける家がこの国に何軒もあるわけではなく、ただの客寄せの道具にしか見えない。大きさを競ったところで、それは消費者不在の、メーカー同士による空中戦でしかない。来年の今頃には出てくると、今のところ公表している東芝キヤノン共同開発によるSEDテレビが、本当にスケジュール通りに世に出てくるのであれば、来年のCEATECにも期待は持てるのだが・・・。
 これまでは、不景気と業績の厳しさを理由に新技術の実用化に二の足を踏んでいた企業も少なくない。しかし、そろそろそんないいわけが通用しないほどに家電業界も持ち直している(三洋電機のような例外もあるが)。家電フリークをCEATECに引き寄せるためにも、各メーカーにはもっと冒険心に富んだ技術を披露してほしいものだ。