こんなのなかった インスタントラーメンを食べさせる店

 秋葉原にインスタントラーメンの専門店ができたという噂を聞き、早速行ってみた。場所はドンキホーテと中央通りを挟んだ向かいの、ちょっと末広町寄りに行ったところ。1階がアイス屋「雪花の郷(しぇーほぁのさと)」になっているビルの2階で、店の名は「Akiba Noodle さくら」。店先には写真のような看板が。オーマイキーのような人形が不気味である。
 店の中にはいると、壁際の棚にズラーーーっと、袋入りインスタントラーメンがおびただしい数並んでいる。カップめんはおいてない。袋入りだけである。大きいスーパーマーケットでも、ここまで袋めんが並んでいる光景は見たことがない。並んでいる銘柄はというと、「サッポロ一番味噌ラーメン」や「日清チキンラーメン」などよく見るものから、北海道や九州など地方限定と見られる東京界隈ではお目にかかれないものもたくさんある。さらには輸入食品のみせでは時折見かける香港やタイなど海外のもの、焼きそばや乾麺のそば・うどん類までもそろっている。
 面白いのは、これらのラーメンを、この店の中で店員に調理してもらって、食べることができるところ。つまり「プロ」の手によるちゃんとした作り方によるインスタントラーメンを味わうことができるのである。これは今までになかった、盲点的趣向だ。ちなみにトッピングも、チャーシュー、玉子、メンマ、白髪ネギ、のりなどのせてもらえる。
 気になる値段は、その場で食べる場合は280〜340円。トッピングはチャーシューと炒め野菜が100円でそれ以外は50円。ちょっと割高なのは調理代と見れば合理的だ。その場で食べずに持って帰れば130〜190円。珍しいものならともかく、その場で食べたほうが断然お得だ。

 ということで、実に400種類並んだ中から、とりあえず手に取ったのは「サッポロ一番しょうゆ味 新麺」。最近出た、袋めんの定番中の定番であるおなじみの銘柄の上級仕様だ。袋を店の人に渡してお金を払い、席について待つこと数分。店の自慢という「究極の鉢」に入ったラーメンが運ばれてきた。普通のラーメン屋と同じように卓上においてあるすりゴマとこしょうを一振りして、いよいよ試食。元の麺もさることながら、これが長年食べてきたインスタントラーメンかと疑わんばかりの美味。これならいっそのこと、もっともシンプルなチキンラーメンを選ぶべきではなかったかと、妙な後悔に駆られた。
 これはしばらくの間、アキバでの食事はここ、というのが定番化しそうだ。

 最近、コンビニでラーメンを買おうとするとおいてある9割はカップめんだ。種類も多くそれはそれで悪くはないのだが、70年代に子供時代を過ごした私のような世代にとっては、インスタントラーメンといえばやはり袋入りなのである。おそらく私のカラダの数10パーセントはサッポロ一番味噌ラーメンでできていたような気がする。そんな袋めん派としては、こんな店の存在は非常に心強い。できれば都内にあと数店できてほしいものだ。