真っ赤に染まった新年の幕開け

 実家の浦和で新年を迎えた。
 最近は元日からでも開けている商店も珍しくなく、都心などでは普段と正月の違いがあまりなくなっているが、普通の住宅が多い浦和の元日はゴーストタウンのように静かだ。
 しかし2006年は違った。
 わが浦和レッズがついに元日の国立の舞台に上がってきたのだ。Jリーグ開始から13年、ようやくこのような形で迎える正月が巡ってきたのである。
 相手は清水エスパルス高校サッカー選手権ではかつてしのぎを削った宿敵・静岡勢と正月に国立競技場で対峙することになるとは実に感慨深い。レッズはこの1年間、リーグ戦カップ戦を通じてエスパルスを圧倒しているが、きょうは天皇杯。何が起こるかわからない。
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 赤いサポーターのたまり場・居酒屋「力(りき)」では、休業返上でどこからともなく人が集まり、熱気に包まれた。
 そして午後2時2分キックオフ。前半から攻め立てるレッズだが、清水のディフェンスは堅い。双方一進一退が続いたあと、前半39分、左サイド・アレックスからのクロスボールを前線に上がっていたセンターバックの堀之内がヘッドであわせて先制。店内は一気にボルテージが上がる。
 ゲームは後半へ。点を取りに行くしかない清水は怒濤の攻めを展開。今度は店内の歓声はため息に変わる。だが28分、細かいパス展開から、今大会全試合で得点をあげているマリッチが振り向きざまのシュート、ゴールネットが揺れた。
 これに対し清水は、ピッチに入ったばかりのDF 市川がミドルシュートを決め追いすがるが、直後に退場者を出しムードは台無し(w)。

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 そして歓喜の時は訪れた。上川レフェリーの長いホイッスルが鳴り響いた瞬間、店内は狂乱の渦に。さらに表彰式。国立競技場のひな壇にレッズイレブンが登り、天皇杯を掲げたとき、熱いものがこみ上げてきた。それは、1年1カ月前のJ1セカンドステージの優勝とは比較にならない喜びだった。

reds4 気がつけば店の周りは黒山の人だかり。ようやく一息つき、浦和駅前に行ってみると、今度は長い列が。近くにいた「ASA」のロゴが入ったブルゾンを着た人が「これから号外を配ります」と呼びかけたので最後尾へ。並んだときには前から100人足らずだったと思うが、寒さに耐えて待っているうちにあれよあれよと列の長さはものすごいことに。最初は「お一人様2枚までです」といっていたのが、「すみません、お一人様1枚だけでお願いします」。

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 そして待つこと30分、ようやく手に入れたころにはすっかりあたりは真っ暗。でも、前途に明るさを感じさせてくれる2006年の幕開けだった。