がんばれ神田食堂、ラホール、さんぼ

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 秋葉原再開発の要と言うべきランドマーク、秋葉原UDXビルが9日、オープンした。このビルの完成により、同再開発事業は一部をのぞきほぼ完了したことになる。残るはヤマギワ電気本店跡地と、ヨドバシカメラのはす向かいの一帯だけである。旧来からのアキバ愛好者のわれわれにとっては、また一つ、アキバらしからぬアキバが増えたと言うべきかも知れない。
 UDXビルの最大の売りといえそうなのは「東京アニメセンター」だが、一般公開はまだ少し先のようだ。従って一般人が立ち入ることができるのは2回中央部のイベントステージと、1〓3階の飲食店街くらいである。
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 ここ数年、都心部でこの手の大規模施設がオープンすれば大挙して人が押し寄せ、ラーメン屋などには長蛇の列ができるのが常である。丸ビルしかり、六本木ヒルズしかり、カレッタ汐留しかり、ヨドバシカメラ・アキバもまたしかり。ところがこのUDXに限っては事情が違うようだ。左の写真は10日、金曜日の夕刻の様子だが、ごらんの通り人はまばら。行列どころか店員の手持ちぶさたが伝わってくる。翌11日も行ってみたが、アキバにはまこと似つかわしくないカポーどもが闊歩していたものの、待ち時間を要する店は特に見受けられなかった。たいした宣伝もしていなかったこともあるかも知れないが、それだけではなのではなかろうか。udx2

 そもそもこのUDXと、昨年完成した秋葉原ダイビルが立っている場所はかつて、神田青果市場があった(そもそも秋葉原駅は貨物専用駅に端を発している)。その名残とも言うべき大衆食堂や牛丼専門店が、未だに数店、生き残っている。秋葉原の消費者の大多数を構成しているわれわれオタクどもは、そうした古き良きアキバの飲食店を愛好してきた。ヨドバシカメラの中のしゃれたインドカレーの店よりも、狭っ苦しいラホールの方が愛着があり、光麺よりも小汚い九州じゃんがらラーメンに行列を作るのである。
UDX1 そうした文化の中に六ヒルや丸ビルにあるような「名店」を仕立ててみても、そう簡単に人々はなびかないのであろう。私は試しにと思って1階にある上海バールとかいう店のオープンテラスで焼きそばを食べたのだが、窓の向こうに見えた「神田食堂」がなんともいとおしく感じてしまった。