ペコちゃんはどうなるの?

 洋菓子メーカーの老舗・不二家が、にわかに存亡の危機に立たされている。企業の倫理観とか雪印の教訓云々など、ありきたりの活字が新聞には並んでいるが、世の人々の最大の関心は、「不二家がどうなるかはともかく、ミルキーとペコちゃんは(ポコちゃんも)何とか残して!」という一点ではなかろうか。
 私事でいえば、故郷の浦和では伊勢丹ができる以前、浦和駅前に不二家の店がどんと構えていて(今はコルソの地下に不二家レストランとして残っている)、誕生日やクリスマスのケーキは必ずここで買うのが我が家の慣習だった。そういう意味で、不二家というブランドは特別な思いがある。ポコちゃんの人形だか貯金箱がうちにあった記憶もある。ミルキーもしょっちゅう食べていたし、特別でもあり日常的でもあるのが私にとっての不二家である。
 おとといだかのテレビのニュースで、誕生日ケーキの注文を店の側から断らなければならないと悔しそうに話すフランチャイズ店の店主が出ていたが、手に持っていた伝票に「チョコレートケーキ(ペコ)」と記載してあったのが何とも印象的だった。果たして注文主の家の子供は、今年の誕生日をどんな思い出として記憶にとどめるのだろうか。
 不二家の社長たちは、マスコミの前で頭を下げる前に、この子供の前で土下座をすべきだろう。

 今後の不二家のみの振り方として、大株主である森永製菓に注目が集まるという観測が出ているが、近い将来エンゼル姿のペコちゃんなんていうのが出てくるのだろうか。そのまま羽を羽ばたかせて空の彼方へ飛んでいってしまわないよう願わんばかりである。