油断大敵、大森脚本

 45分がこれほどあっという間と思える大河ドラマは久しぶりだ。下手をすると「独眼竜政宗」以来ではなかろうか。そして、次回がこれほど待ち遠しく感じる大河ドラマも絶えて久しかった。そんな「風林火山」の第2話だった。
 今週の最大の見せ場は、後半の山本勘助が謎の追っ手に襲われるシーン。同時進行で勝千代が父・武田信虎の御前試合で弟と相対する場面が交互に挿入される展開は演出の巧みさを感じさせた。
 また、前回軽く触れただけの、今川家家臣・福島越前守による武田への内応という話が、今週になって重要なポイントとして生きてくるというのも面白い。このドラマの脚本を担当している大森寿美男氏といえば、3年前の朝ドラ「てるてる家族」が代表作だが、その「てるてる〜」では、前振りをいくつか用意しておいて、数週後のエピソードでその前振りが生きてくるという展開を多用していた。それがドラマの妙味として効いていて、見る側としては、どこにこの先への布石が打たれているかを見のがさんがために、1話たたりとも見逃せなくなるという、いわば脚本家の“罠”に陥っていた覚えがある。
 初回に比べて今週は、合戦シーンもなく地味な展開と感じる向きもあるかも知れない。しかし、そんな地味な内容にこそ、今後の展開を何倍も楽しめるための布石が散りばめられていたのかも知れない。来週もその点は要注意だ。