圧勝って・・・

 以下のような記事を見るに付け、報道、就中一般マスコミの近視眼的浅はかさを感じずにはいられない。

次世代DVD、ブルーレイが圧勝=06年国内販売シェア77%
*2006年の次世代DVD対応機(ゲーム機を除く)の国内販売で、ソニー <6758> や松下電器産業 <6752> などが提唱するブルーレイ・ディスク(BD)が、東芝 <6502> が推進する別規格のHD DVDに圧勝したことが26日分かった。市場調査会社BCN(東京)によると、BDのシェアはゲーム機を除いて77.7%と、HDの22.3%を大きく上回った。
 このうち、主力となるレコーダーとプレーヤーの合算シェアは、BD82.7%、HD17.3%。対応ドライブ(駆動装置)を搭載したパソコンのシェアは、BDが68.0%、HDは32.0%。 

1月26日20時1分配信 時事通信

 「ブルーレイが圧勝」。このフレーズがいかにばかげた言葉であるかは、この分野にそこそこ興味を持っている人間なら誰もが抱くだろう。
 まず、東芝が昨年7月に発売した、初のHD DVDレコーダー「RD−A1」は半年経った今でも実勢価格30万円前後と、HDD/DVDレコーダーの上位機と比べても2倍近い。この機種が飛ぶように売れるとは、東芝もはなから考えていなかっただろう。
 これに対してブルーレイ陣営では、昨秋以降にソニー松下電器が、両社呼応したかのように20万円前後のスタンダードモデルと25万円前後の上位モデルをそろえてほぼ同時期に発売した。
 これらの発売時期と価格を並べれば、どれが一番売れるかは火を見るより明らかだ。
 東芝機がなぜ高価なのかというと、搭載しているHDDの容量が1TB(1000GB)であることが一番大きい。ブルーレイの2社はいずれの上位機とも500GBである。このスペック差を割りきって、ブルーレイレコーダーを購入した人が結構いたということだろう。
 ただ、ハイビジョンディスク市場自体は、DVD市場を100とすれば0.1ぐらいというのが実感だ。HD DVDにしろブルーレイにしろ、最新映画がハイビジョンディスクでリリースされるケースはまだきわめて少ない。今一番売れている邦画DVD「日本沈没」でさえハイビジョンディスクではリリースされていない。ソフトベンダーも様子を見ているのが現状だ。野球にたとえれば、1回裏、ブルーレイ陣営の攻撃で1塁にランナーが出ただけではなかろうか。この状況をさして「ブルーレイ圧勝」といってしまう上記の記事。記者の無邪気さを覚えると同時に、このフレーズが一人歩きすることへの懸念を覚える。