ポータブルTVの可能性

 ワンセグ放送の正式サービス開始まで2カ月を切ったが、au(三洋電機)が対応機の販売を開始したのを皮切りに、ここに来て各メーカーの動きが顕著になってきた。ソニーがバイオノートtypeTにワンセグチューナーを搭載したことについてはここでも紹介したが、こんどは松下電器がポータブルDVDプレーヤーに搭載したものを出してきた。


松下、ワンセグチューナ搭載のポータブルDVDプレーヤー

〓9時間のワンセグTV受信が可能。実売9万円

 ケータイを想定して企画したのがワンセグの本分だが、家電業界の両雄が電話機ではない機器から手を付け始めたところが興味深い。
 試験放送をごらんになった方は実感されていると思うが、ワンセグの画像は非常に安定している。電波が届く場所であれば、基本的に画像が乱れることがないというのがデジタル放送波の真骨頂である。だから、地上を走っている電車(地下鉄は今のところ×)や車に乗りながらでも、これまでのような砂嵐混じりの映像に悩まされることなく、居間で見ているのと変わらないクリアな絵が味わえる。
 ポータブルテレビというのは大昔からあり、かつて「ラテカセ」(ラジカセ+テレビ)というものもあったが、いずれもたいして売れる商品にはならなかった。それは、ブラウン管ゆえに重すぎることと、外出先では画像が安定せず満足に視聴できないことにあった。しかし、ワンセグなら、上記の松下のものだけでなく、PSPやPDA(ウィルコムのW〓ZERO3など)サイズの受像器も成立する。メーカーサイドも、ケータイにこだわることなく、スタイリッシュで個性的なポータブルワンセグテレビをさまざま出してくるようになれば、新たな市場に育ちそうな気がする。