「松下電器より心からのお願いです」

national2 松下電器からのダイレクトメール、あなたの家にも届きましたか?来ていないというあなた、日本に住んでいませんね。もしくは不法入国者ですね。

 しかし不思議な手紙である。宛名の書いていない手紙を受け取ったのは、実物としては初めてだ。電子メールでは死ぬほど来るが。聞けばこのDM、日本の全世帯6000万軒に送付したそうだ。単純に考えて、郵送費用だけで30億円。不幸の手紙もここまで書ければ一流だ。
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 昨年12月、松下電器は一定期間自社CMをすべてこのお知らせに差し替えて、石油ファンヒーターの回収を呼びかけた。同社1社提供の「水戸黄門」に至っては、CMの時間はこのお知らせの特別ロングバージョンを仕立て、世の時代劇ファンの恐怖心をあおりまくっていた(下手な悪代官よりたちが悪い)。それで回収できたのは目標の6割に満たなかった。

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 そもそもこのファンヒーター、一番古いものだと1985年、いまから20年も前に作られたものだ。我が家の耐久消費財を見渡す限り、20年間使い続けているものは一つもない。親元から独立したのが15年前だから当然といえば当然だが。それでも15年前から使っているものは、テレビを乗せているサイドボードだけである。 そのあたりから推測するに、対象の機器の大半はすでに東京湾岸の地の底深くに眠っているのではないだろうか。
 果たして30億円の郵便代は効果があるのだろうか?