ウルトラマンの戦いにケチをつけるな!

 「子供置いてきぼり」などさんざんな好評を得た「ウルトラマンマックス」は無事終了し、今週から「ウルトラマンメビウス」が始まった。放送時間帯は早朝から夕方に代わった。
 前作では初代ウルトラマンウルトラセブン、ひいてはウルトラQまで、いわゆるウルトラ第1世代のお父さんたちを巻き込もうという作り方がなされ、バルタン星人やらゼットンやらメトロン星人やらレッドキングやらピグモンやら万城目淳やら懐かしの怪獣やキャラクターが次々に出てきて、大きなお友だちの心をわしづかみにしようとした。それがはたして成功したと判断したのかどうかわからないが、今回の「メビウス」は2匹目のドジョウを狙おうというのか、帰ってきたウルトラマンから始まりエース、タロウ、レオ、さらにウルトラマン80までのウルトラ第2世代(80は本当は違う!)を使ってそれをやろうという狙いらしい。
 その一発目というわけか、番組の冒頭でいきなりウルトラの父が登場。これまでの平成ウルトラマンウルトラマンティガ以降のことをこういう)では語られなかった、ウルトラ兄弟の正当な継承者として新たなウルトラマンメビウスに地球へ向かうよう命じる。
 一方地球では、最後のウルトラマン(つまり80)が去って四半世紀ぶりに怪獣が出現。平和ボケに浸ってしまっていた防衛隊はあっという間に怪獣につぶされほぼ全滅。なすすべなくたたずむ人々の前に、25年ぶりのウルトラマンメビウスが現れる。そして怪獣はメビウスの手で退治される。
 という第1話だが、衝撃的だったのは怪獣が倒されたあとの展開だ。戦いが終わったあと、唯一生き残った防衛隊の隊員が街を見渡してウルトラマンに向かって叫んだ。「こんなに街を壊しやがって、それでもウルトラマンかよ!」
 正直、それがウルトラマンだと思っていた。どれだけ怪獣が暴れウルトラマンと戦って街の建物などが破壊されても、戦いが終わった次のカットでは何もなかったかのように街は元通り、そこに屁理屈を述べるのはタブーというか非礼だと、われわれ怪獣世代は当然のように考えていた。しかし、そうした「古き良き」時代を知らない若者や子供にそんな常識は通じない、いや通用させてはいけないという作り手の考えなのだろうか。それがいまどきの風潮なのだろうか。
 ウルトラマンが現れたシーンで、その場に居合わせた市民たちの一部がケータイを取り出して写真を撮っていたり、怪獣が出現した際に防衛隊の長官がのんきにゴルフをしていたりと、もしいま現実に怪獣やウルトラマンが現れたら起こりそうなケースを盛り込んでいるのはわかる。それこそ、そういう手法はウルトラ第2世代の第1弾「帰ってきたウルトラマン」でもとられており特別なものではない。ただ、変に現実感を持ってこられると、冷めてしまうきらいがある。そういう意味で、今回の「こんなに街を壊しやがて」という隊員のセリフには、ちょっと待て、それを言っちゃあおしまいよ!と強く感じた。「イマドキ」ふうの描写を排除せよというつもりはないが、ウルトラマンとてあくまでファンタジーだということを忘れないで、あまり理屈っぽくならないように願いたい。