初ものはいいけれど・・・

 東芝がHD DVDレコーダー第1号機を発表した。ついに、というか、ようやくというべきか。

東芝、世界初のHD DVDレコーダ「RD-A1」を7月14日発売
−2層HD DVD-R対応。1TB HDD搭載で398,000円
 株式会社東芝は、HD DVD/HDDレコーダ「RD-A1」を7月14日より発売する。価格は398,000円。

 同社のデジタルメディアネットワーク社 藤井美英社長は、HD DVDレコーダの発売時期について、3月31日のプレーヤー発売時に「(ドイツワールドカップ前と予告していたが)万が一間に合わないこともあるので、私の願望”ですが、なんとかW杯に間に合うよう開発陣にハッパをかけている」と発言していたが、7月9日の決勝戦には間に合わなかった。

 RD-A1は世界初のHD DVDレコーダとして、「VARDIA」ブランドで展開。コードネームは「プロビデンス」。1TBのHDDを搭載し、HD DVD-R(15GB)へのデジタル放送録画やムーブが可能。2層HD DVD-R(30GB)の録画再生もサポートする。DVD-RAM/R/RWへのSD解像度でのデジタル放送録画/ムーブに対応し、カートリッジタイプの DVD-RAM記録も可能。ドライブはソニーNEC製。(全文へ)

 まず価格。初ものという点をふまえれば、ちょっとやそっとじゃ手が出ない帯域になるとは想像していたが、正直な話、とても手を出せる数字ではない。現在発売されている1TBのHDDを搭載するハイブリッドDVDレコーダーのほぼ2倍。高級志向の消費者を引きつけるにも、さすがに厳しい価格だろう。
 スペック面では、現行のRDシリーズに採用している「RDエンジンHD」をHD DVD対応版へとバージョンアップさせるなど、映像出力やサウンドなど質の向上に力を注いでいる反面、先月同社が発売したRD−XD92Dで採用したダブルデジタルチューナーには対応しないなど、機能面では残念な点がいくつか見受けられる。
 実際、2ちゃんねるやファンのブログなどでの第一印象は芳しくない。

 今年の歳末商戦では次世代ディスクを巡る熱い戦いが繰り広げられる、などと妄想を掲げていたメディアが今年初め頃には結構見られたが、今回の東芝の発表はその見方をものの見事に裏切ったといってよかろう。ブルーレイ陣営の方も、PC用のドライブはすでに市場に投下されているが、AV機器としてのレコーダーはまだ影すら見えてこない。同じ日に開かれたソニー株主総会ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の久夛良木社長は「PS3を1億台売りたい」と息巻いていたそうだが、果たして何年先になることやら。
 最新技術は高くつくものとはいうが、あまり空中戦だけに夢中になっていては、買い手にそっぽを向かれて血のにじむ努力も灰燼に帰すことを考えるべき時期に来ていることを、メーカーもソフトベンダーも悟るべきだろう。