ハイ、ご苦労さん 植木さん

 稀代の名コメディアン、植木等が逝った。植木等までもが逝ってしまった。
 気に入った映画は何度も暮れ換えしみるのが私の趣味だが、その中でたぶんいちばんリピート率が高いのがおそらく「ニッポン無責任時代」だろう(ちなみに2番目は「ルパン三世カリオストロの城」)。一見平凡な男が、その持ち前のC調な性格と話の巧みさ、機転の早さを頼りにとんとん拍子に出世して成功を収めていくサマは、何度見ても愉快痛快。あの豪快な笑い方に、子供ながらにあこがれたものだ。
 「巨人の星」や「サインはV」のような努力と根性の固まりのような泥臭い作品が多かった当時にあって、「人生に大事なことは タイミングにC調に無責任」と歌いきる痛快さには年代が前後するのに新鮮な印象を覚えた。

 昭和がまた一つ、自分の前から飛んでいってしまった。