こんな切腹シーンもあるのか

 今週の「風林火山」は「運命の出会い」というサブタイトルの通り、山本勘助がヒロイン・由布姫と運命的出会いを果たし、諏訪一族が滅んでいく中、自刃を拒んでいた由布姫を勘助が連れ出すという展開がクライマックスとして展開された。
 しかし、番組を見ていた視聴者のほとんどの印象に残ったのは、前半の、由布姫の父・諏訪頼重切腹に至るまでの描き方だろう。
 戦に負けて寺に幽閉された頼重は訪れた武田晴信に対し、生き残りのための策を弄するも、晴信に諏訪の盟約違反を指摘され怒りを買う。その、晴信=市川亀次郎の一喝は見事!そして、妻・禰々と頼重が最後の能を見物する際の細かい演出。さらに、ついに切腹の瞬間、頼重=小日向文世の目だけをアップにする大胆なカメラワーク。しかも目だけを映したままいまわの際のセリフを言わせる。こんな切腹シーンは初めて見た。
 目だけをアップにしてセリフをしゃべらせる演出は、以前、勘助にもやらせており、今回の演出家の得意技ということになりそうだ。

 それにしても、今回のクライマックスシーンで、いまや裏ヒロインの呼び声高いミツ=貫地谷しほりを、新録のカットで挿入するとは、にくいことをしてくれる。