ちりとてちん

 今月から始まったNHKの朝ドラ「ちりとてちん」が面白い。
 仕事が遅番の日でも、わざわざ7時半に起きてBS2にチャンネルを合わせてみて、見終わってすぐ、今度は地上波の総合テレビに切り替えて30分後に再度見て、余韻に浸りながら二度寝するくらい、はまりきっている。もちろん、ハードディスクレコーダーに全話撮ってあって、いずれHD DVDに焼く予定である。
 これほどはまった朝ドラは、2003年の「てるてる家族」以来だ。福井で生まれ育ったヒロインが落語家を目指して成長していくというストーリーだそうだが、今週までの2週間は福井・小浜での少女編。
 ヒロインは「風林火山」の序盤で一躍その名が響き渡った貫地谷しほり。私としては映画「スイングガールズ」でトランペットを吹いてた彼女を見たときから気になっていた存在であったが、こうもとんとん拍子で露出していくとは、驚きである。その彼女が登場したのは事実上2週目からで、第1週はまだヒロインは子役。ただこの子役が貫地谷に劣らぬ名優ぶり。大御所俳優・米倉斉加年を向こうに回して三枚目ヒロインの役回りを見事に演じきっていた。
 そのおかげで、貫地谷の登場に一抹の不安があったが、それが杞憂であったことを今週、いやというほど思い知らされた。特に圧巻だったのが昨日、13日の回。家を出て大阪に行きたいと切り出したヒロイン喜代美(通称B子)が、反対する和久井映見扮する母親に対し「お母ちゃんみたいになりたくない!」と叫ぶシーン。親に対していった決定的な一言を言った直後、「いうんじゃなかった」という気持ちを目で表す演技力は見事というほかなかった。そこから、列車に乗って小浜の街を離れていく展開。あまりここで詳しく書いても陳腐になるだけなのであえて書かないが、何度見ても(再々放送など含め合計5回見たが)ジーンと来てしまった。
 来週からは、落語界へ足を踏み入れていく大阪編で、落語の演目を実際の芝居で見せたり(ちょうど「てるてる〜」の昭和歌謡ミュージカルと重なる)、楽しみな展開が待っているようで、しばらくは早起きを余儀なくされそうだ。