日本オタク大賞2007「本編その1」

 オタク大賞2007リポート第3回、いよいよ本編である。今回壇上に並んだコメンテーターは、鶴岡法斎唐沢俊一東海村原八(フィギュア原型師)、石黒直樹(編集者兼ライター)、前田久(アニメライター)、志田英邦(ゲーム雑誌「コンティニュー」編集者)、ドリー尾崎(映画ライター)の面々。今回はまず、各コメンテーター07年のベスト3と「裏ベスト」の4項目を挙げてプレゼンしあうという形式。
 まず、司会も兼ねる鶴岡氏が挙げたのは、
(1)「大日本人
(2)「大怪獣バトル」
(3)「初音ミク
 (1)は松本人志第1回監督作品。(2)はスーパーのなどのゲームコーナーの一角に置いてある、ウルトラ怪獣を題材にしたカードゲーム。鶴岡氏曰く「5歳児とかに混じってはまって遊んでいる」とか。
 (3)の初音ミクに説明は不要と思うが、同氏曰く「5,6年前のシーケンスソフトとかがバカみたいに思えるくらいよくできた音楽ソフト」。
 そして問題の「裏ベスト」は「無料で配られた漫画雑誌」。当初の話題にもかかわらず、記録的短期間で消えていった漫画のフリーペーパーだが、すがやみつるの「デイトレーダーあらし」は気になる作品だった。

 次はアニメ専門の前田氏。挙げたのは、
(1)らき☆すた
(2)電脳コイル
(3)「天元突破グレンラガン」の第3部まで
(3)の「3部まで」という部分には個人的にも納得。
 そして「裏」として挙げたのは「スクールデイズ」「Kawaii! JeNny」「ニコニコ動画」の3点。2番目の「Kawaii!」は、リアルドールを使った特撮コマ送りアニメ。U曲で放送したらしいが、不覚にも全く知りませんでした。「スクールデイズ」については説明したくないが、気になる方はこちらの動画でもどうぞ。

 続いて原八さんが挙げたのは、
(1)宇宙戦艦ヤマトボトムズザブングルなどでかいプラモ続々発売
(2)海洋堂食玩から撤退
(3)ガンダムOO
 (1)に関して特にいえるのは、昔の作品のモデルを、今の技術の粋を集めて作ってしまおうという傾向の現れだという。
 (2)に関しては、このところ、中国でのフィギュア・おもちゃ類の生産コストはどんどん上がっており、かつてのように一つ300円でクオリティーの高い食玩が手に入れられることは物理的に不可能になってきているという。確かに言われてみれば、最近買う小型フィギュアの値段を思い起こすと、500円前後というのがほぼ当たり前、下手をすると600〜700円ということも珍しくなくなっている。原油高などから有りと有らゆるものに値上げの波が押し寄せているきょうこのごろだが、世間擦れしたオタクたちにとってもすでに飲み込まれつつあるようだ。
 その原八氏が挙げた「裏」は「タモリ倶楽部」。ホビーはとしては、鉄道ブームに火をつけたこの番組はたたえられるべきと言うわけだ。

 続いては石黒氏。挙げたのは、
(1)メディアミックスの明暗
(2)いい休刊悪い休刊
(3)同人誌脱税事件
 (1)、メディアミックスでうまくいっている例というのは、実は非常に少ない。(2)に関して、悪い方としてあげたのは、先に鶴岡氏が挙げた無料の漫画雑誌。一方でうまかったのは、月刊少年ジャンプが休刊してジャンプスクエアとなって生まれ変わった例。石黒氏曰く、ジャンプシステムを自ら否定してしまうところに、ジャンプが「帝王」であることを知らされたという。
 (3)の問題は、昨年のオタク大賞でも少し話題になったが、ある女性の同人誌作家が2億円脱税していたことがばれたという一件。オタク文化の顕在化に伴い、同人誌の商業誌化という、一件矛盾した事態が進行しつつあることの現れといえそうだ。
 そして石黒氏の「裏もの」は「マガジンドラゴンの例のやつ」。デスノートパクリ事件のことらしいが。個人的によく知らないのでパス。

 と、ここまで書いただけでまだ半分といったところ。というわけでさらに次回に続く・・・。