日本トンデモ本大賞2006
今や梅雨時の恒例行事となった日本トンデモ本大賞が今年も行われた。
例年通り、うっとうしい天気の中、千代田区公会堂の蒸し暑い階段でしばし待たされ入場。何でも同公会堂は老朽化に伴い今月で閉鎖されるそうで、この蒸し暑さもこれが最後だ(別に寂しくはない)。ちなみに来年はイイノホールでやるそうな(旧社屋のそば、懐かしいな)。
開演までの間、物販コーナーに目を通し「と学会年鑑GREEN」を購入。「月刊岡田斗司夫」も気になったがパス。
改めて場内の席に着くと、ステージのスクリーンには先月のトンデモ本大賞前月祭で山本博会長が披露した開発中(というか審査待ち)のゲームソフト「デストロイ・オール・ヒューマンズ」の映像が流されていた。このソフト、地球に攻めてきた宇宙人を操作して地球人をどんどん殺していくという何ともシュールなゲームで内容自体は単純。ただ、そこは山本会長プロデュース、もとはオーストラリア製のゲームを日本向けにアレンジしたものなのだが、そのまま日本語に移し替えるだけではおもしろくないと、と学会信者なら誰もがご存じのアニメや特撮のセリフ(もしもこの国が弱ければロシアがたちまち攻めてくる、とか)やUFO関係のよく聞く言葉を逃げまどう人間たちにしゃべらせ、なおかつ豪華声優陣(広川太一郎、山口勝平、田中敦子など)に声を当てさせるなど、ある特定の狭ーいそうだけにものすごくヒットしそうな仕上がりに名手いるそうな。ただ、一部団体を誹謗中傷しているとかで、チェックに引っかかっているそうで、果たして世に出てこられるのか、心配である。
待つこと1時間弱、ようやく開演。司会は“炉”の落語家立川談之助師匠と開田あや女史。最初の出し物は唐沢俊一先生が進行役となってと学会員がオタク的講義を行う題して「と大学東京」。
まず「電車男」の中国語翻訳版2種類を比較してオタク文化があちらの国にどれだけ理解されているかを考察。「ヌルポ」とか「オンドルルラギッタンディスカー」といった一般の日本人にさえ理解困難な2チャンネル語を、ものの見事に訳している台湾版翻訳はもう見事というほかない。このほかトンデモマンガの研究などが続く。
そしていよいよ今年の大賞候補5冊の紹介。
1冊目は角川春樹著「わが闘争」。社会復帰後も相変わらずデンパな発言を続ける角川センセイの自叙伝。期待通りの内容である。
2冊目は樹門幸宰著「姓名の暗号」。姓名判断に関する研究書で、名前にこそ命の根源であると主張する。
3冊目は前田文彬著「量子ファイナンス工学入門」。量子力学が経済や株価の動きに密接な関係があると解く。えっ?
4冊目は森田健著「『私は結果』原因の世界への旅」。印象薄くないよう忘れた。
5冊目は森野正春著「相対性理論の大嘘」。宇宙空間など存在しないとまで言い張る、もうめちゃくちゃな内容。
各書の詳細はリンク参照のこと。
30分の休憩を挟んで、開票作業中のつなぎの余興。当初予定されていた、ガンダム紙切りの唯一にして第一人者、大東両(だいとうりょう)先生(去年夏にNHK BS2で放送した「丸ごとガンダム」に出ていた)が急病のため出られず、代わりに雷門獅篭(元立川志可吾、久しぶりに見た)が登場しもちネタのガンダム落語を一席。ここなら受けるが、そりゃ寄席の年寄り客相手じゃ受けねえよな。
落語が終わっていよいよ結果発表。去年、一昨年は紹介の段階で「これが大賞」というのがすぐわかるようなかたちだったが、今年は比較的小粒が集まったという印象。それでも、3冊目の「量子ファイナンス工学入門」が他を引き離しての大賞獲得となった。
全般的には例年に劣らずおもしろかったが、大賞選考以外の方が印象に残る内容だった気がする。いっそのことダヴィンチ・コードに特別賞でもやればもっと盛り上がったかも。
- 作者: と学会
- 出版社/メーカー: 楽工社
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