バトルフィーバーJの伝説

 先週からCS東映チャンネルで「バトルフィーバーJ」が始まった。同作品はスーパー戦隊シリーズの第3作に位置づけられていると同時に、石ノ森章太郎原作ではない東映オリジナルの戦隊シリーズ第1弾だ。
 数年前まで、いわゆる戦隊シリーズの括り方には、このバトルフィーバーから始まる東映オリジナルのみとする説と、「秘密戦隊ゴレンジャー」、「ジャッカー電撃隊」の石ノ森原作2作品を含むとする説の2つがあって、一部のマニアの間で論争の的となっていた。しかし現在では、制作元の東映のご都合主義的な解釈もあって、石ノ森作品を含める方の説が公式解釈となっている。その説に乗っ取ることで、今年の「轟轟戦隊ボウケンジャー」が30作目を名乗ることができているというわけだ。
 そんな節目の作品ともいえる「バトルフィーバーJ」には、伝説がたくさんある。まず、今回のCSでの放送がある意味奇跡的である点。同作品は制作そのものは先に述べたとおり東映単独なのだが、作品に出てくる女性メンバーが変身するミスアメリカというキャラクターが米国のマーベル社のコミックから拝借したものであるため(これの直前に制作された東映スパイダーマンも同じ)、放映やソフト化には同社のお伺いを立てる必要があるのである。そのため、レーザーディスクでは以前発売されたことはあるものの、DVDは未発売となっている(この放送終了後に出るかも)。
 また、メンバー5人のうち2人が途中で殉職などにより交代しているのも、この作品の特徴だ。これに関しては長くなるのでまたの機会に書くことにする。
 もう一つ、今週の放送分で端的に表れたことであるのだが、敵の秘密結社エゴスの幹部ヘッダー指揮官役の潮健児氏が、放送開始直前に不祥事が発覚して降板する羽目になった。急遽代役として石橋雅史氏が務めることになったのだが、すでに数回分を取り終えたあとだったため、その分を改めて撮り直した。ところが、先に撮った回の中に、代役の石橋氏が怪人役として出てくるというものがあり、その回だけやむなく潮版ヘッダー指揮官のままされることになった。それが今週放送された第4話「超魔力の罠だ!」だ。
 その前の3話までとあわせて続けてみると、どれが一番えらい悪の幹部なのか、わけがわからなくなる。最初の放送当時、よくこれでごまかした気になれたな東映は、と首をかしげるほどの強引なというかせっぱ詰まったやり方かと、関心すらしてしまう。ちなみにこの前の第3話には先日他界した曽我町子氏も悪役のゲストとして出演している。

 そんな戦隊シリーズきっての異色作、今後も折に触れて語ってみたい。なお、潮健児氏について詳しく知りたい方はこちらの一冊をお強く薦めする。