特撮最前線

 この週末、久々においしい仕事に携わった。刑事ドラマ「特捜最前線」DVD-BOX発売の記者会見の取材だ。「特捜最前線」といえば、藤岡弘、を筆頭に特撮ヒーローもの出身者がメンバーに多く、別名「特撮最前線」と呼ばれる、オタクにとっては語るべきネタが多い刑事ドラマである。そういえば、キャップの神代警視正・二谷秀明からして「マイティ・ジャック」に出ていた(大滝秀治は何か出てたっけ?) 。
 その記者会見に現れたのは藤岡弘、誠直也荒木しげる夏夕介横光克彦阿部祐二、さらにメインライターの長坂秀佳の7名。私の目には特捜課の面々という以前に、仮面ライダー1号・本郷猛、アカレンジャー・海城剛、仮面ライダーストロンガー・城茂、キョーダインのスカイゼルが並んでいるようにしか見えないのである(約1名、怪しい政治家もいるがそれはスルー)。
 会見の時間が短かったために特撮がらみの逸話などは聞けなかったが、目の前にかつてのあこがれのヒーローたちが、なれの果てとはいえ一堂に会している光景は、長生きしてよかったなあという一言に尽きるのである。

 会見の間、各氏の話を聞きながらはっと思いついたのだが、この手の大人向けの刑事ドラマが、いつの間にか死滅してしまった。それはなぜか。一つには、ITの普及により、かつての刑事ものでは定番だった電話の逆探知といった手法が使えなくなったり、現実の犯罪の方がフィクションを圧倒してしまっていたりという環境の変化は確かに大きい。しかし、最大の理由は、藤岡弘、のような濃い役者が減っていることにあるのではなかろうか。最近の特撮出身俳優はというと、やれイケメンだのともてはやされ、ジャニーズ系の延長線のようなアイドル的役者がほとんどだ。結果、そうしたさわやか系の俳優の受け皿として、大人向け刑事ドラマよりコメディタッチの作品の方が使い回しがいいということになり、同じ刑事ものでも、「踊る大捜査線」のようなハードボイルドという言葉とは縁遠い作品が増えてしまっているのではないのだろうか。

特捜最前線 BEST SELECTION BOX Vol.1【初回生産限定】 [DVD]

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