メフィラス星人 40年の野望

 遅くなったが、先週の「ウルトラマンメビウス」についてはここで語っておかねばなるまい。最終盤を前に登場したのは、メフィラス星人である。折しも、CSファミリー劇場で放送中の「ウルトラマン」(初代)でも、「メビウス」放映の翌日放映分は偶然なのか狙ったのか、メフィラス星人登場の「禁じられた言葉」だった。この2作をあわせたレビューとしたい。
 この2作に出てくるメフィラス星人は、どうやら同一人物のようだ。まず声も同じだし、口調もほぼ同じだ(本当に同じ声優なわけだが。決して星一徹ではない)。そして、冒頭での初代ウルトラマンとの会話からも、40年前に地球にやってきたのと同じメフィラス星人であることがわかる。
 ということは、「ウルトラシリーズに出てくる怪獣・宇宙人の中でもっとも長生きなのは、、、メフィラス星人」というトリビアが成立する。
 ちなみにメフィラス星人というと、もう一人、「ウルトラマンタロウ」に出てきたのがいたが、このメフィラスは先代のメフィラスとは性格も違うし、外見の色合いも違っており、ましてタロウに倒されているので、ここでは触れない。
 で、40年前、初めて地球にやってきたメフィラス星人は、地球の子供(科特隊のフジ・アキコ隊員の弟)に「地球をあげます」との一言をいわせようと画策する。だが、たかが子供にさえ剣もほろろに断られ、一度は怒りに駆られて取り乱すものの、ウルトラマンと戦っているうちに冷静さを取り戻し、潔く敗北を認めつつ、「いつか私に地球を売り渡す人間が必ずいるはずだ。必ずくるぞ」と言い残して地球から去っていった。
 そして律儀者のメフィラスは、約束通り、40年ぶりに地球にやってきた。しかし、前回の失敗に学んでか、地球人自ら地球を売り渡す発言を促すのではなく、地球人の頭脳に直接電波を当てて人類の心を支配してしまおうと試みる。しかし、ウルトラマンメビウス=ヒビノ・ミライの努力と、初代マン=ハヤタの助けにより、メフィラスの野望は再び失敗に終わる。そして40年前と同じように、メフィラスはウルトラマンらの前でまたくると言い残して地球を去ろうとするが・・・・。40年生き続けたメフィラスに、あまりの仕打ちではないか皇帝陛下。
 2作を見てつくづく感じるのは、成田亨御大によるメフィラス星人のデザインのすばらしさである。40年たった今でも、全く古さを感じない、むしろほかの怪獣などよりよっぽど斬新に思える。リメイクの固まりといい「ウルトラマンメビウス」も、懐かしさでうれしい反面、新しい怪獣・宇宙人を生み出すチャンスが失われているのは残念の限りである。
 蛇足だが、初代ウルトラマンが単独で兄弟の助っ人に現れたのはきわめて珍しいのではなかろうか。それと、映画「ウルトラマンメビウスウルトラ兄弟」の際のウルトラマンはAタイプだったのに、今回はそうでなかったのはなぜなのだろう(あれはDタイプ?)。