日本オタク大賞2007「腐女子編」

 今年初めての更新ということで、まずは今年もよろしくごひいきのほどお願い申し上げる。

 さて、08年1本目は、先頃収録が行われた、毎年恒例のCS番組「日本オタク大賞」(放映は1月下旬)。の様子を。今回は自分としては珍しく、克明にメモを取ってきたので、かなり長い内容となってしまった。このため、読み手の便宜を考慮し(書き手のネタつなぎも考慮し)、3回ほどに分けてアップすることにする。

 恒例とはいえ、毎回収録時期が違うし番組構成もまちまちで、そもそもさしたる権威もない冗談企画に過ぎないのだが、これを見ておかないと落ち着かなかったりはする。というわけで今回の内容だが、具体的な受賞物件などについては番組放映前なので放送を見てもらうとして(もしくはニコ動にアップされるのを待つとして)、2007年のオタクシーンというものがどのようであったのかをまとめてみたい。
 まず、本編の前に個別コーナーのようなかたちで語られたのは「腐女子」。正直な話、われわれ男オタクにとって未知の分野である。その、全く予備知識のない中で語られた、2007年の腐女子(最近はFJなどと呼ぶそうな)のトレンドをまとめると、
 (1)2.5次元=テニミューに代表される漫画原作の実写版のミュージカル化
 (2)執事喫茶スワロウテイル
 (3)ネオロマンス
 (4)仮面ライダー電王
なのだそうだ。
 まず(1)だが、テニミュー(テニスの王子様ミュージカル)は腐女子の聖地・池袋乙女ロードの一角にある小劇場で5、6年前から行われ、公演はすでに第5期を数えるまで至っている。そこに群がる腐女子どもの楽しみはというと、この舞台に出た役者がその後、腐女子好みのメジャーシーンにデビューしていくのを見つめる、ようは青田買い的な場なのだそうだ。
 そのメジャーシーンの、07年における筆頭格が(4)の「電王」だという。腐女子コメンテーターとして壇上で語ったライターの倉田真澄氏によると「イマジンにはいい男のイメージがすべてそろっている!!」のだそうだ。
 そして(2)の執事喫茶は、メイド喫茶の男版という位置づけで登場時話題にもなったが、アキバ界隈のメイド喫茶とは明確な違いがあるという。
 まず、「小芝居が濃い」(倉田氏)。メイド喫茶では、入ってきた客に対して「お帰りなさいませご主人様」というのがおきまりだが、客の方はほかの喫茶店と変わりなく、普通の客として振る舞うのが普通。ところが執事喫茶では、「お嬢様お帰りなさいませ」というだけにとどまらず、粗相をした客を厳しくしかるなど、客にも「キャラになりきる」ことを強要されるというのである。まさにロールプレイング。しかも勝手に帰ることは許されず、というか入店時間が80分といった具合にあらかじめ設定されているのだ。1カ月前に予約するのが通例だが、運がいいとその場で入れることもあるという。
 3つめの「ネオロマンス」とは、「信長の野望」などで知られるコーエーがゲームシリーズの総称で「遙かなる時空の中で」がその代表タイトル。これを題材にしたイベントが聖地パシフィコヨコハマで頻繁に開催されるという。いわゆる腐女子=BLという男オタクの固定概念を打ち破ろうと編み出された都合のいい言葉のようだ。
 最近は、普通の本屋のベストセラーの棚に「腐女子」の3文字が躍っているケースが全く珍しくなくなっているが、上記の話を1時間弱聞いただけで、その深さとおぞましさに改めて恐怖感を覚えた。