「懐かしの昭和こども新聞」

kodomoshinbun 先日向かいのコンビニで見つけたムック、「懐かしの昭和こども新聞」です。
今やこの手の“なつかし”本、グッズは世にあふれ放題なわけですが、この一冊に限っては結構できのいい内容です。

 昭和38年(1963年)から53年(78年)までの、こどもの間における「事件」やはやりものをニュース仕立てで羅列していくという構成で、「鉄腕アトムついに登場」(38年)、「東京オリンピック、華麗に開幕」(39年)、「人類ついに月に立つ」(44年)、「大阪万博 世紀の開幕」(45年)、「花の中三トリオ誕生」(48年)といった時代を象徴する出来事を当時のこどもの感覚で紹介。さらに、「正しいシェーとは」(41年)「大論争 ピーターは男か女か」(44年)、「お色気テレビに鼻血ブー!?」(45年)「ガム10円値上げを許すな」(45年・社説)、「浅間山荘事件に怒り噴出 TVは事件報道一色、ぼくらの番組を返せ」(47年)などといった、この時代をこどもとして経験した世代にとっては身につまされるネタをふんだんに取り上げている。
 今年は戦後60年ということで、NHKあたりが、昔の白黒映像を掘り出して懐かしもうという番組を多く放送しているが、こうしたこども文化に触れたもなはあまり多くないし、公共放送の性質上、表現しずらい面がある。そういう意味でもこの本は貴重な1冊であり、また、濃い物好きのオタク心に答えうる仕上がりになっている。
 中でも私が驚いたのは、「狙われるビンジュース自販機」(41年)という記事。お金を入れて、縦長のとびらを開けてビンジュースを引っ張り出すという仕掛けの、懐かしいタイプの自販機の、ビンの中身のジュースだけがなくなるという事件が頻発したという話だ。犯行の手口は、家にある栓抜きと紙コップを自販機まで持って行き、お金を入れずにとびらを開けて、中に入っているビンを引き出すことなく栓だけを抜いて、横になっているビンから出てくるジュースを紙コップですくっていただき!という原理。
 最近の若い人には何が何だかさっぱりの話だろうが、30代から40代のあたりにとっては見事にツボにはまる事件ではなかろうか。

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