日本沈没・日本誕生 〜東宝特撮の古き良き時代
公開か始まった樋口真嗣監督の「日本沈没」を見る前にと、旧作の「日本沈没」をCSで見た。そしてそのすぐあと放送した「日本誕生」も続けて見てしまった。正直疲れた。
旧「日本沈没」は1973年、「日本誕生」は1959年と、14年の開きがあるが、いずれもその当時の東宝が渾身の力を込めた大作だ。
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新作は今週中に見る予定だが、いかに仕上がっているのか、期待しつつも、旧作の出来を見ていささか不安を覚える。
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あまりに長い作品なので、絞りどころが難しいが、私がポイントとして特に挙げたいのは2点。一つは、素戔嗚尊(これも三船が演じている)の悪癖に怒った天照大神(原節子)が天の岩戸の中に閉じこもり、再び外に呼び戻すという有名すぎる神話のシーン。天照大神を呼び戻そうと方法を考える八百万の神々を、エノケン、柳家金語楼、三木のり平、小林桂樹、加東大介、有島一郎など喜劇役者が勢揃いして演じている。そして“美女の裸踊り”で誘い出そうということになり、舞台で踊る天宇受女命演じる乙羽信子が全裸のような姿で踊り狂う。外の異変に気付いた天照大神が岩戸の隙間から様子をうかがおうとしたところを、岩戸の横に控えていた朝汐太郎(先代)演じる手力男命が戸をこじ開け、晴れて暗闇が光に満たされていく。その原節子の神々しさの見せ方は実に見事。まさに伝説の女優にふさわしい演出だ。
もう一つのポイントは、終盤、日本武尊が討ち死にした途端、山が大噴火を起こして敵の兵士たちを飲み込んでいく特撮シーンだ。使い回しのカットが多用されるのは気になるものの、溶岩が流れてミニチュアの湖の水が溢れ出していく部分の合成の完成度の高さはまさに円谷特撮の真骨頂だ。
昭和30年代、40年代の東宝がいかに熱かったかを物語る2作品を見て、疲れ果てた